【腰痛】介護による腰痛対策

投稿日:2019/12/14

高齢化社会の中で気を付けないといけない介護による腰痛対策

もはや日本人の国民病ともいわれる腰痛ですが、今後注意しなければならないのは介護を原因としたものです。高齢化社会がさらに進んでいく将来、介護による腰痛にならないようにするための対策などについてまとめました。

 

介護と腰痛は密接な関係が

介護をしていると腰を痛めやすい傾向にあり、これはすでにデータとして出ています。「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」というものについて、厚生労働省では発表しています。

平成21年のデータで、業務上の疾病は全部で7491件発生しており、その中で腰痛は4870件を占め、6割以上に達しています。

普段から介護を行っているプロがこれだけ腰痛持ちを抱えているので、両者には強い関係性のあることがうかがえるでしょう。

 

業種別でもトップ

職業別で見た場合、最も多かったのは介護を含む保健衛生業で24%程度ありました。全体の約1/4を占めている計算です。

そのほかに多いのは商業・金融・広告業の19%や製造業の16%があります。これらの業種と比較しても、いかに発生頻度が高いかお分かりでしょう。

要介護者の介助を行う関係上、身体的な負担が大きく、それが腰への負担につながっていると考えられます。

 

 

腰痛を引き起こす動き

では具体的にどのような作業をすると、腰に負担がかかるのでしょうか?介護職の中でも腰に過度の負担をかけやすい業務について、以下でいくつか紹介します。

 

移乗介助

寝たきりなど自力で体を動かすのが厳しい人の場合、ベッドから車いすや車いすから便器など移さないといけません。

この時に被介護者の体重がすべて介護者にかかってしまいます。この時お尻やひざのほかにも腰で支える形になってしまうので、どうしても負担が大きくなるでしょう。

 

入浴介助

一人で入浴できない場合には、そのフォローをしなければなりません。浴槽まで移動する際には被介護者を抱えることになり、また体を洗う際にはかがんで作業する形になります。

するとどうしても腰の負担が大きくなってしまうでしょう。だからと言って入浴の頻度を減らすのもよくありません。体を清潔に保つ必要がありますし、リラクゼーション効果も期待できるからです。

 

トイレの介助

車いすを使っている人の中には、排せつを自力で行えない方もたくさんいます。車いすから便器への移動をサポートする、人によってはズボンの上げ下ろしなどもすべて行わないといけないケースもあります。

この作業中、中腰で行うので負担は大です。しかも生理現象のため、1日に何度も行う必要があります。

 

おむつの交換

トイレに行けなくなると、成人用のおむつを使用します。この時ズボンと下着、おむつを脱がせて、陰部を洗浄して、新しいものと交換します。

寝ている状態の相手に作業しますので、前傾姿勢を取った状態になるのです。大体15分くらい完了するまで時間がかかるので、その間ずっと腰に負担がかかり続けます。

 

体位交換

寝たきりの肩の場合、定期的に寝返りを打たせる必要があります。でないと床ずれが起きてしまうからです。自力で難しければ、介護者が動かすことになります。

寝たきりといっても大人の高齢者の体重がすべてかかりますので、肉体面での負担は大きいでしょう。

 

 

介護時の腰痛対策のポイント

介護をする際には腰にいかに負担をかけないようにするかが重要です。動きをちょっと工夫するだけでも十分対策できます。その中でも重要なポイントについて、以下で解説します。

 

腰をできるだけ曲げない

車いすや寝たきりの方相手に介助するので、上体をどうしても低くしなければなりません。この時腰をかがめると負担が大きいです。

そこでひざを曲げるなど、重心後と低く落とす姿勢を心がけましょう。持ち上げる際には足を開きひざを曲げて、そこから持ち上げると腰の負担も最低限に抑制できます。

 

スライドが基本

移乗介助の際に、相手の体を持ち上げようとすると腰に負担がかかります。

そこで移乗先を近くにセッティングして、スライドするようなイメージで動かすと移乗しやすいでしょう。体力を温存できますし、被介護者からしても転倒などの危険性を軽減できます。

 

グッズの活用

現在では腰痛対策のグッズもいろいろと出ています。骨盤ベルトやコルセットなど、腰を固定できるようなアイテムを装着して介護をしてみるとよいでしょう。

また移乗シートやボードに代表されるような介護をサポートするための福祉用具も出ているので、こちらも活用するのもおすすめです。

 

 

まとめ

両親が高齢化すれば、いずれは介護が必要な状況になることは十分想定できます。場合によっては家族が面倒を見ることも十分想定できるでしょう。

無理をしすぎて腰を痛めて、介護者と共倒れになってしまえば元も子もありません。

今後もしかすると自分が両親の面倒を見ることもあるかもしれないと考えて、介助の方法なども勉強しておいて損はありません。ちょっとした体の動かし方に関する工夫で、腰痛対策は十分行えます。